ヘイボー
「あ、卵だ。」
べに
「温泉卵と思うんだよね。」
コンコン!
ぐしゃっ
生卵の白身が流れた。
朝食は朝6時から8時半まで。
午前二時に泥酔状態で寝たぼくらは、
8時に起きるのすら苦行だった。
でも折角朝食無料なので
食べないと勿体無い!!
思う存分朝食を食べた。
そんなぼくらのこれからの行き先は
「伊勢崎オートレース場」です。
行く理由は二つあって、
ヘイボー
「オレ、競馬とか競輪やったことあるけど、
オートレースは初めてだわ。」
ってのが一つと、
べに
「オートレース場の近くに風俗店あるって。」
ってのが二つ目。
チェックアウトしたぼくらは、
早速目的地に向かうのでした。
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伊勢崎オートレース場。
ぼくもそんな詳しくないのですが、
簡単に言うと「競馬」です。
ただ、乗り物が馬ではなく『バイク』なのです。
ぼくはてっきりレーシングカーみたいな、
F1を思い浮かべていたのですが、
バイクだとは知らなかった。
入り口付近に車を駐めて、
オートレース場内に入っていく。
広大な敷地に、レーサーの幟も立っている。
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本来ならこのコースでレースが行われ、
莫大な金が右往左往するのだろう。
この日は場外ということで、
別の県のオートレース場で開催されるレースを、
テレビ中継で見守ることになる。
友人のクロフネ氏に誘われて、
新潟や福島の競馬場に行ったことがあるが、
ああいう場所は
なかなか機能的な造りになっている。
食堂があったり売店があったり、
もうあんまり覚えてないけど、
家族で来ても楽しめるスポットなんじゃないかな。
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いの一番に入ったので、まだ他の客・・・
いや、ギャンブラー達はいない。
さっきも書きましたように、
写真じゃ判りづらいですが、
奥左側に売店みたいなのが見えますよね。
何屋さんかと思ったら、
「 予想屋 」
もうね、すごいよね。
これでお金取るんですよ?
お金取った上で、
当たらなかったら自己責任という
正当防衛が成立するんです。
こんなんさ、
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これと一緒だろ。
まあ、この人達も商売として情報を売るのであれば、
それなりの根拠とか実績があるんでしょう。
しかしながら遊びで来たぼくらに、
そこまでガチの情報など不要。
遊ぶのは
午前10時53分発走の第一レースのみ!!
このレースにすべてを賭ける!
ぼくらは入り口に置かれていた
競馬新聞ならぬオートレース新聞と、
おっさんがよく持っている、
鉛筆の芯がプラスチックに刺さっただけの
機能美を追求したペンを片手に、
早速予想を立てるのでした。
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ぼくは競馬とかよく知らないのですが、
ヘイボーは少しやってたらしくて、
ヘイボー
「うーん、直近の結果はこうか・・・。」
ヘイボー
「ドライバーの年齢がなー・・・。」
などと何か呪文みたいなこと唱えだして、
で、メモみたいなのも新聞に書き始めた。
みるみる内にヘイボーのレース新聞が、
酒と競馬しか生き甲斐がない
おっさんのそれみたいな風貌をなしてきました。
べに
「ねぇ、それさー、もうおっさんの新聞じゃん!」
ヘイボー
「色々予想するとこうなるんだて!!」
ヘイボーはいつも全力投球。
それを笑ってはいけません。
ぼくはめっちゃ笑ってたけど。
さて、折角です、ぼくもちょっとやってみましょう。
以前アメトークで「競馬芸人」みたいなのやってて、
競馬新聞の見方を説明してたことがありました。
競馬新聞のギッシリと羅列された
文字、数字、記号には、
かなり機能的且つ効率的な情報が詰め込まれ、
読み方がわかれば合理的に予想を立てられる、
みたいな印象を受けました。
それを思い出してぼくもじっくりレース新聞を
見てみるとなるほどなるほど、
まったくわからん。
わかる人が見ればおそらく今回のレースの
「クセ」みたいなところが読めるのでしょうが、
所詮ポッと出のぼくが
有益な新聞の情報を解析したところで、
「それがどうかした?」
みたいな感想しか出てきません。
みるみる内にヘイボーの新聞は
真っ黒に染まり上がって行きます。
ここでヘイボーの言葉を思い出す。
「年齢」「前回順位」などなど。
なるほどね、そういうところも考慮するのか。
まあぼくは初心者だからね、
思うがままに考えてみましょう。
レース新聞をよく見ると、
年齢や出身地、前回の成績や、
出走時のハンデまで記録されている。
ハンデがあるのはやはり年齢や経験を
考慮しているということか?
予想だけだけどこれはこれで奥が深いぞ。
ぼくの悪いところかも知れませんが、
ぼくはこういう時とことん吟味する。
ネットや外部の情報も駆使して吟味する。
それがこれからの人生に1ミリも
役に立たないとしても吟味するだろう。
早速スマホで今レースの
予想しているサイトを探ったり、
ネットの掲示板の情報見たりと、
ヘイボー以上に情報収集を始めた。
とは言え、根本が理解出来てないので、
サイトで調べた情報も全くイミフ。
もうわからん。降参。
もはやプロのギャンブラーと化した
ヘイボーの意見を求めることにしました。
べに
「全くわからんのだけど。」
と、意見を聞くと、
ヘイボー
「まず1番ね。」
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レース新聞の選手名の上に、
キャッチコピーみたいなカタカナが羅列しております。
ヘイボー
「この”ジャックナイフ”ってのが気に入ったね。」
え、その程度の理由?
アレだけレース新聞を真っ黒にした男が
言い放つにはあまりにも浅い理由だった。
さらにヘイボーの解説は続きます。
ヘイボー
「若いしさ、ハンデも0mだから先行逃げ切りかなって。」
申し訳ないのですが、
そのくらいならぼくだって予想が着く。
もっと、前回の順位がとかこのコースが弱そうとか、
マニアックな理由が飛び出すかと思ってました。
いや、でもこれはぼくが勝手に思っていたこと。
ヘイボーも最初にオートレースは初めてだ、
と言ってましたからね。
ぼくが他人に頼り過ぎていたんだ。
そして、もっと気楽に予想していいんだ。
ありがとうヘイボー君、
ぼくは目覚めることが出来た。
そしてヘイボーの予想解説は続く。
ヘイボー
「次に2番ね、年齢が63歳。かなりのベテランだね。」
ヘイボー
「7番がね、ちょっと気になるんだけど。」
などなど。
そして極めつけが、
ヘイボー
「べに君、8番見てよ!!」
ヘイボーが力強く話す。
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バートン
高林 亮
と、書いてある。
ヘイボー
「このバートンのバを”ゴ”に変えると!?」
べに
「・・・・・・・・・・・・。」
べに
「ゴー『ト』ンじゃね?」
ヘイボー
「え!?」
何だよ、気付いてなかったのかよ!
どうやら彼の中では
べに
「ゴードンになる!」
ヘイボー
「でしょ?どうよべに君!」
べに
「来るね、これ!」
という展開になると思ってたそうです。
てかゴードン奮わなかったじゃん
来ねーじゃん絶対。
~~~~~~~
何だかんだで時間が差し迫ってまいりました。
ぼくは券の買い方もわからなかったのですが、
ヘイボーが競馬と同じだと悟ったらしく、
ヘイボーを見習って券を買いました。
ヘイボーはぼくに話した通りの予想で
券のマークシートを記入しました。
ぼくはぼくで最後は適当に、
それこそ総合順位とかで予想しました。
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何か1位だけを予想する「単勝」という
券が買えないレースで多少グダりましたが、
ぼくもヘイボーも500円分ずつ購入。
いよいよ発走です。
ぼくは新潟競馬場で実際に馬が走ってるのを
見たことがありますが、迫力がすごいですね。
今回は場外とのことで目の前では走りませんが、
きっとこれも目の前で走ってたら
かなりの迫力があったことでしょう。
そんなわけで天井から吊るされている
テレビを観ながらぼくらはレース結果を待ちます。
シグナルブルー!
各車一斉にスタート!!
ハンデがあるレースなので
スタート位置がバラバラですが、
面白いことにやっぱりハンデって必要なんですね。
なんと1番のジャックナイフが、
ハンデで1位だったのに、
コーナー曲がる度に後ろ後ろに下がっていき、
最終コーナーの頃には
画面にすら映ってなかったですからね。
で、何だかんだでゴール。
結果は 4-3 でした。
ぼくもヘイボーも当たりませんでした。
競馬だったら、差し馬って言うんですか、
ゴールギリギリで怒涛の勢いで
ビリだったのが1位になる展開。
そういうのがよくあるのですが、
今回オートレースをやってみて、
何か一度差がつくと
もう覆されないイメージに感じました。
とりあえず終わったので、
帰ろうかーって思ったんですが、
ヘイボー
「あれ?当たってるんじゃない?」
と言い出すのです。
彼は3連複で3-5-8を買っております。
3連複とは
「1~3位を当てていれば順番は問わない」
という買い方です。
今回のレース結果は
1位 4
2位 3
3位 5
の4-3-5なので、
例えば5-3-4でも買ってれば
大当たりだったんですが、
3-5-8のヘイボー。
残念ながら当たりではない。
言葉の意味を知っているぼくですら、
当たりではないというのはわかる。
ヘイボー
「えー?当たってるでしょ?」
と言うので、
べに
「4入ってないからダメじゃない?」
と言いましたが、
納得いってなかったので、
払い戻し機に券を突っ込んだのですが、
払い戻し機
「的中しておりませんでした。」
と、無情の表示がされましたので、
ぼくらはオートレース場を去ることにしました。
ちなみにヘイボーは3連複を、
1~3位を予想する中で、
2つの順位が的中されてれば当たり
と思っていたらしいです。
それオッズ計算クソめんどくさくね?
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オートレースに熱中するダメな大人達
そう表現するのはよくありません。
ぼくは今回オートレースをしてみて、
わからないところが多々ありましたが、
これかこれでワクワクドキドキ感はありました。
なるほど、やってみれば面白いです。
そう、みんなアツイ想いを秘めて楽しんでいるのです。
べに
「もう1レースやる?」
ヘイボーはハズれてたことを
とても残念がってました。
しかししばらく考えたあと、
ヘイボー
「うーん、いいかな!」
と回答しました。
500円が2000円になってたかも知れない、
その思惑がハズレてかなり凹むヘイボー。
ヘイボー
「もうさ、ゴー「ト」ンすらなくて、
コートンになった気分らぁて。」
どんだけ凹んでるんだよ。
ゴードン
↓
ゴートン
↓
コートン
見事な三段活用が完成したところで、
今回はここまで。
ではまた次回。
多分あと2話。